人体で1番大きい臓器は人間の脳です。
肝臓はその脳に次いで2番目に大きな臓器(体重の2%)になります。
大きい分肝臓の特徴・役割はかなり多いです。
肝臓固有の特徴
みなさん肝臓の特徴についてどのくらい知っていますか?
- 80~85%程度切除しても正常に機能する。
- 肝小葉と呼ばれる細胞が集まり形を形成する
- 門脈を通して栄養血液が流れ込んでくる
他にたくさん特徴はありますが重要だと思う特徴についてリストアップしました。
生命維持に必要不可欠な肝臓の機能
以前にもリストアップしましたが
同じリストでは味気ないのでより詳細にしてみました。。
機能においての詳細も過去にブログにしましたので、知りたい人は読んでくださいね~
- 栄養分を貯蔵し、必要な場所へ供給する
- 胆汁の生成とビリルビンの代謝
- 血漿タンパク質の合成
- 尿素の合成
- 脂質代謝
- ビタミン代謝
- ホルモン代謝
- 人体に悪影響のある細菌や物質の解毒
- 薬の代謝
リストアップすると多いですよね
ただ覚えようとしてもなかなか難しいと思います。
機能は丸暗記ではなく言葉だけでは覚えない
ただの作業のように、リストを覚えるのではすぐに忘れてしまいますし
実際には、あまり役に立たない知識(すぐに使えない知識)になりますよね
生きた知識をつけたいのであれば
暗記ではなく
機能の流れを掴むことが重要
肝臓の機能がこれだけ多いということは、影響する臓器や組織も多いということです。
せっかく勉強するのであれば、肝臓にとどまらず体全体で見た方が効率がいいですし
なにより理解が深まります。
肝臓の機能を覚えるコツ
上記のリストでは9つも肝臓の機能がありますよね?
細かくリストする方が、それぞれの機能についてイメージが出来て理解が深まると思うのですが
そんなに覚えるのはしんどいよという方には
大分類、中分類、小分類と自分なりにまとめることをおすすめします。
ぼくは、覚える数が多くなると諦めてしまうので大雑把に分類してから勉強するようにしています。(笑)
肝臓の機能は自分なりに分類する
9つあるそれぞれの機能を系統で分類しました。
まず3つ
代謝・解毒・胆汁産生
これはすぐに思い出せるようにひたすら反復して唱えます。
これが言えないとこのブログを読んだ意味はゼロと言ってもいいです。
そして、そこから
代謝の分類
- 糖代謝
- タンパク質代謝
- 脂質代謝
- ホルモン代謝
- ビタミン代謝
解毒の分類
- 細菌や薬による毒性の解毒
- 薬物の代謝
胆汁の分類
- 胆汁生成
- ビリルビンの代謝
こういう感じに分類した方が覚えやすい気がしませんか?
こういう勉強の工夫は人それぞれ違うと思うので
良い工夫があればコメントなどで教えて欲しいです。
分類別の障害されたときの症状
障害された症状を分類別に表にしました
(見にくくてごめんなさい(_ _))
肝臓の機能 | 障害されたときの症状 | |
代謝 | タンパク質代謝 | 腹水・浮腫 |
易出血・易感染 | ||
肝性脳症 | ||
脂質代謝 | コレステロール値低下による | |
細部不形成 | ||
内分泌疾患 | ||
ビタミンD不足 | ||
ホルモン代謝 | クモ状血管腫 | |
手掌紅斑 | ||
解毒 | 薬物・細菌の無毒化 薬の代謝 | 易感染 |
薬物中毒 | ||
胆汁 | 胆汁の産生 ビリルビンの代謝 | 掻痒感 |
黄疸 |
ワードとエクセルで表を作ってみましたが、上手く出来ませんでした(T-T)
ワードプレスで表の見やすい作り方を勉強しないと(T-T)
症状別の解説
腹水・浮腫
腹水には門脈圧亢進によるものと、膠質浸透圧低下によるものがあります。
肝障害のレベルによっては両方から発生します
門脈圧亢進
- 肝硬変や肝がんにより肝臓への血流が悪くなる
- 門脈に流れてくる血液がうっ滞し門脈圧亢進になる
- 血漿成分が門脈外に流れ出る
- 腹水がおこる
膠質浸透圧低下
- 肝臓の代謝機能が低下する
- 血漿タンパク質の合成不良
- アルブミンが低下
- 膠質浸透圧低下
- 水分を血管に留めておけなくなる
- 腹水・浮腫
合併症
便秘・腹部膨満
腹水や浮腫により腸管の蠕動運動が阻害され便秘になり
今度は便が腸管を圧迫しさらに便秘と腹部膨満を悪化させます。
腹水の治療
- 安静(肝臓、腎臓への血液量を増加させる)
- 肝臓の庇護と利尿
- 塩分制限(5g以下/日)
- 水分制限(600ml/日)
- アミノ製剤、アルブミンの補給
肝臓の機能を現状最大限に活用し、無理はさせないこ
水をためないようにしないと駄目ってことですね。
ただし安静だからといって同一体位をずっと、とっていると
褥瘡の原因になりますので気をつけください
次は
食道静脈瘤
食道静脈瘤も門脈圧亢進による症状です。
血液が門脈からなかなか流れないと心臓へ流れる血液量は減っていきます。
それでは生命維持に重大な支障がでますよね?
そのために、通常通らない道から血液を流そうとします。
それを
側副血行路と呼びます
側副血行路によって無事に循環血液量が低下することを防ぐことに成功しました。
しかし、血流が本来の道から流れないため血管のキャパシティを超えてしまうため血管は脆く破裂する可能性が高まります。
ちなみにRCS(red color sign)と呼ばれるサインがあります。静脈瘤の表面が赤くなっていると破裂する危険がある状態と言う意味です
その脆くて細い破裂する可能性の高い血管が食道に現れた疾患を
食道静脈瘤
と呼びます。
他にも
直腸に現れた場合を
痔核と呼び
腹壁静脈に現れた場合を
メデューサの頭と呼びます
静脈瘤が破裂すると
ショック状態や窒息で最悪の場合死に至ります
万が一破裂した場合は窒息を防ぐため側臥位にしすぐにDrを呼びましょう。
DrはS-Bチューブ(ゼングスターケン・ブレイクモアチューブ)を挿管するはずなので可能なら準備しておくと完璧です。
食道静脈瘤の治療
EIS:内視鏡的硬化塞栓療法
血液硬化剤を注入し出血を防ぐ
EVL:内視鏡的静脈瘤結紮術
静脈を縛り出血を防ぐ
静脈瘤は命の危険に直結する怖い病気なので兆候を見逃さないように気をつけないといけないですね。
食道静脈瘤の時、くれぐれも経口摂取しないように
刺激で破裂する可能性が高いです。
途中になりましたが
今日はここまでです(疲れました<m(__)m>)
まだ疾患はたくさんありますので
次回に紹介します。
次回も是非読んでみてください。
まとめ
肝臓の機能は何回もおさらいすることをおすすめします。
アルコールや食習慣の悪化により肝臓は知らないうちにダメージを受けていますが
再生能力、予備能力が高いため症状が出にくいのも肝臓の特徴です。
症状が出てからでは遅い場合もありますよ。
現場でも、既往歴や患者さんの身体アセスメントから症状の兆候を見逃さないようにしないといけないですね。
明日、後編をアップする予定なのでまた見に来てください。
ではまた~
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